「 つたや」と聞くと、レンタルソフトチェーン大手「TSUTAYA」を思い出しますが、どういう関係なのでしょうか?【殿堂入り回顧 】

1月5日からNHKで始まる大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』。その主役は「江戸のメディア王」と呼ばれる蔦屋重三郎(つたや・じゅうざぶろう)。俳優の横浜流星さんが演じます。「つたや」と聞くと、レンタルソフトチェーン大手「TSUTAYA」を思い出しますが、蔦屋重三郎とはどういう関係なのでしょうか ? ちょっと調べてみました 。

「江戸のメディア王」蔦屋重三郎ってどんな人?

「 NHKラジオ らじる ★ らじる」の記事によると、蔦屋重三郎は江戸時代中頃の本や浮世絵の版元を運営。滝沢馬琴や山東京伝、浮世絵師の喜多川歌麿や歌川広重、東洲斎写楽など名だたる人物を世に送り出した、今で言う名プロデューサーとのことです。遊郭があった江戸の吉原で生まれ育ち、23歳のとき吉原の入り口で遊女を相手にした小さな本屋を開きました。ここから、自ら出版も手がける「江戸のメディア王」にのしあがっていったそうです 。

「蔦屋重三郎が由来」(TSUTAYA公式サイト)

一方、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(略称:CCC)が全国に約800店を展開するのが「TSUTAYA」です。DVDやCDなど幅広く扱っており、新刊書を「蔦屋書店」という店舗名で扱っています。この蔦屋重三郎について「TSUTAYAの由来にもなった」と、TSUTAYA公式サイトでは報告しています。2024年12月の「蔦屋重三郎キャンペーン開催」の告知。そこでは「TSUTAYAの由来にもなった江戸の出版人、蔦屋重三郎が大河ドラマの主人公に!」と書かれていました 。

TSUTAYA1号店のオープン時に届いたファックス。創業者が膝を打った内容とは?

蔦屋重三郎とTSUTAYAにはどういった関係があるのでしょう ? CCCの広報に取材したところ、同社創業者の増田宗昭会長が最近、書籍のインタビューに応えていると教えてもらいました。その書籍は『NHK2025年大河ドラマ「べらぼう ~ 蔦重栄華乃夢噺~」完全読本 NIKKO MOOK』(産経新聞出版)です。TSUTAYAの第1号店は1983年3月に大阪府枚方市内にできた「蔦屋書店 枚方(ひらかた)店」。立ち上げ当時のことについて、増田会長は元NHKアナウンサーの松平定知さんの質問に答える形で、次のように述べていました 。

<蔦重(編註:蔦屋重三郎のこと)とは血縁関係があるわけではなく、また僕が事前に蔦重を知っていたから店名に選んだというわけでもありません><祖父が営んでいた家業の屋号が「蔦屋」であったことと、当時の書店は「 ○ ○ 屋書店」という屋号が多かったこともあって、昭和58年(1983)に開業した1号店を「蔦屋書店 枚方店」と命名しました><「蔦屋」というのは、祖父の副業だった置屋の屋号です。祖父の本業は「増田組」という、現在のゼネコンのような仕事をしていました><もしかすると祖父は蔦重のことを知っていて、それにあやかって屋号を「蔦屋」にしたのかもしれませんが、これはわかっていません><祖父の置屋は、昭和33年(1958)に廃業しましたが、「蔦屋」の屋号はそのままずっと残っていました。僕は小さいころ「蔦屋のボンボン」と近所で呼ばれていたほどなので、祖父が名づけた「蔦屋」の屋号には愛着があり、なにか新しい事業をはじめるときは「蔦屋」を使いたいなと思っていました><じつは「蔦屋書店 枚方店」をオープンした日に、『広辞苑』の「蔦屋」の項目が印字されたお祝いのファックスが届きました。このとき「ああ、こういうことか!」と思わず膝を打ち、祖父が蔦重のことを知っていて「蔦屋」と名づけたんだと勝手に解釈して、それ以来、蔦屋重三郎の「蔦屋」なんだよと言いはじめたわけです(笑)。><祖父が名づけた「蔦屋」の由来を想像したことで、その後は僕なりに蔦重のことを調べました。1号店のオープン当初、蔦重が江戸時代を代表するプロデューサーであったことを知り、僕もそれにあやかって「現代のプロデューサー」になれたらなと思ったことを覚えています>

CCCが蔦屋重三郎を「TSUTAYA」の由来とする理由とは?

つまり増田会長の祖父が、芸者を雇って派遣する置屋(おきや)という副業をしており、そこの屋号が「蔦屋」だったのが1号店に「蔦屋書店枚方店」と名付けた直接的な理由でした。この祖父の方が蔦屋重三郎のことを知っていて「蔦屋」とつけたのかは不明ですが、1号店の開店祝いのファックスで蔦屋重三郎のことを知った増田会長が影響を受けてTSUTAYAの発展の原動力となったということだったのですね。CCCの広報担当者は、この増田会長が明かしたエピソードを引いた上で、次のようにTSUTAYAと蔦屋重三郎の関係についてBuzzFeed Japanに説明しました 。

「 蔦屋重三郎は、喜多川歌麿や葛飾北斎、東洲斎写楽などの絵描きを育て、版木をつくって後世に残しました」「CCCにとっての版木がTSUTAYAであり、TSUTAYAを通じて、現代のアーティストや芸術文化を応援するとともに、それらを世界に向けて発信し、未来の生活者へ届ける拠点になりたいと考えております」「よって、屋号に留まらず現在のTSUTAYAというブランドは、蔦屋重三郎なくして存在しえなかった為、TSUTAYAの由来という表現を行っております 」

※BuzzFeed Japanで根強く人気がある記事を再編集して掲載しました。初出:2025年1月5日

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蔦屋重三郎がプロデュースした東洲斎写楽の浮世絵「三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛」(Heritage Images / Getty Images)

記者会見する増田宗昭さん=2023年06月13日撮影、東京都千代田区(時事)

NHK2025年大河ドラマ「べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~」完全読本 NIKKO MOOK(産経新聞出版)

中国・上海にある「上海前灘太古里 蔦屋書店」2024年3月撮影(Cfoto / Future Publishing via Getty Images)

晩餐会で演説するフランシスコ教皇(2025年2月撮影) Photo by Stefano

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