インタビューの中では「けっこう面白いのができるはず」「スペイン内乱が舞台」と構想について触れた上で、スタジオジブリのプロデューサーである鈴木敏夫さんのGOサインが出ることへの期待をにじませていました 。

1992年公開の宮﨑駿監督のアニメ映画『紅の豚』。スタジオジブリの話題作が日テレ系の『金曜ロードショー』で5月9日午後9時から放映です。イタリア・アドリア海を舞台にした冒険活劇として根強い人気がありますが、宮﨑監督が続編の構想を漏らしたことがあるのをご存じでしょうか。その作品名は『ポルコ・ロッソ 最後の出撃』。幻となった続編の構想に迫ります 。

「しょちゅう逃げたくなるんですよね」と語っていた宮﨑駿監督

その構想が話されたのは、映画雑誌『CUT』2010年9月号に掲載されたインタビューです。『続・風の帰る場所』(ロッキング・オン)によると、このインタビューの中で宮﨑監督は『崖の上のポニョ』(2008年)の次回作について「少年が主人公である作品を構想しているか」と、インタビュアーの渋谷陽一さんに問われました。それを受けて、以下のように答えていました。 🗣 ️ 「 そういう、きわどい話は … … 。構想はいつもしてます」 🗣 ️ 「 だけど、しょちゅう逃げたくなるんですよね、『ポルコ・ロッソ   最後の出撃』をやろうかなとかさ」 🗣 ️ 「 でも、それは少年じゃなくて中年男ですよ」 🗣 ️ 「 面白い映画が作れるはずなんですよ。僕はイタリアに行って爆撃機の中に入ってきましたから、博物館にある」おお、ここまで話すということは乗り気なのか。しかしこの後、宮﨑監督は突然トーンダウンします。宮﨑監督は「少年が主人公のものしか、考えてはいけない」とも語り、中年男性の冒険活劇を作ることに対して、自らを戒めていることを明らかにしました 🗣 ️ 「 いやまあ … … この話をすると膝を乗り出してしまう。だから、これはやめてですね … … 。そういう罠にはかからないようにしたい。でもそれをやってもね、未来には繋がらないんです。未来に繋がるのは、やっぱり少年を主人公にして、若い娘たちも観るような … … 難しいよね」どうも、宮﨑監督としては自らを仮託しやすい中年男性を描いた方が楽だけど、映画作品を広い人に観てもらうためには描きづらくても少年を描いた方がいいという考えに至ったようです。確かに2010年以降の宮﨑駿作品を見ると『風立ちぬ』(2013年)は若き航空技術者、『君たちはどう生きるか』(2023年)は11歳の少年が主人公となっており、中年男性は主人公に選ばれていません。ただ、宮崎監督も諦めきれていなかったようです。このインタビューの中では「けっこう面白いのができるはず」「スペイン内乱が舞台」と構想について触れた上で、スタジオジブリのプロデューサーである鈴木敏夫さんのGOサインが出ることへの期待をにじませて、未練を見せていました。 🗣 ️「じじいの趣味だからしょうがねえよって鈴木さんが言いながら『ポルコ・ロッソ   最後の出撃』かなんかをフって作れたら、幸せなんですけどね。それはもう道楽ですから 」

次回作は冒険活劇風? 長男の宮崎吾朗さんが明かしていた

こうして幻に終わったかのように見えた『紅の豚』の続編ですが、ちょっとした後日談があります。というのも2024年5月、長男でスタジオジブリ常務の宮崎吾朗さんが記者会見しました。その際、宮崎監督の次回作が「昔なつかしい冒険活劇風」になるかもしれないと吾朗さんが明かしていたからです。「期待してるんですけど、その通りにはやってくれないんだろうなぁ」とも続けており、まだどうなるかは分かりません。84歳を迎えた宮崎監督は、念願の『ポルコ・ロッソ 最後の出撃』を手掛けるのでしょうか。続報が流れる日を静かに待ちたいと思います 。

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インタビューの中では「けっこう面白いのができるはず」「スペイン内乱が舞台」と構想について触れた上で、スタジオジブリのプロデューサーである鈴木敏夫さんのGOサインが出ることへの期待をにじませていました。

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『紅の豚』の主人公、ポルコ・ロッソ(スタジオジブリ公式サイトより)

『続・風の帰る場所』(ロッキング・オン)の書影

2024年5月24日、記者会見をする宮崎吾朗さん

『紅の豚』に登場するジーナ(スタジオジブリ公式サイトより)

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