おしゃぶりをするマレーグマの小熊。愛らしい行動の背景にある、「可愛い」だけではすまされない現実とは …… ? ボルネオマレーグマ保護センタージャパン(BSBCC Japan)が公式SNSに投稿した動画が話題です 。

人間の赤ちゃんと一緒 …… ! 遠くボルネオで暮らす、世界最小のクマ「マレーグマ」の小熊の愛らしい行動が話題です。日本国内でのマレーグマの認知拡大や保全に関する啓発に取り組む、ボルネオマレーグマ保護センタージャパン(BSBCC Japan)の公式アカウント(bsbcc_japan)が4月9日、Instagramに保護グマ・キパクくんの動画を投稿したところ、4.3万件を超える「いいね」が集まりました 。

「甘えん坊のキパクは昔からおしゃぶりをする癖があります👶」→可愛いけど、実は「助長したくない」理由が……。

公開された30秒ほどの動画には、たくさんの植物が生い茂る森の中に、後ろ足2本で立つ小熊・キパクくんの姿が映っています。左前足の指を口に入れて吸いながら、キョロキョロと周囲を見渡すキパクくん。ひとしきりおしゃぶりをすると、指を口から外し、周りを気にするかのように首を伸ばしながら頭を左右に動かしました。公式アカウントは、この動画について、以下のように説明しています。「甘えん坊のキパクは昔からおしゃぶりをする癖があります 👶 」「マレーグマがおしゃぶりをする理由は人間と似ていて、注目してほしい、甘えたい、また自分を落ち着かせるための行動だと考えられています」「本来は子供がお母さんに対して取る行動」「しかし、キパクは母グマを亡くし、人の手で育ったため、スタッフが近くにいるとおしゃぶりをしてしまいます。一見可愛いですが、自立してほしいので、決して助長はしたくない行動です」「大きくなるにつれ頻度は確実に減りましたが、まだなかなか癖は抜けません 😢 」

「可愛い」だけじゃない、まさかの背景に反響続々!

この投稿には 💬 「赤ちゃんみたいで可愛いですが、いろんな理由があるのですね 😢 ❤ ️キパク、がんばって!」 💬 「理由を知らずにこちらを拝見したら、可愛い 😊 になりますが、理由を知ると、とても切ないです」 💬 「ママがいないのはとっても寂しいけれど、少しずつでもどうにか克服して『いつの間にかおしゃぶりしなくなってた ✨ 👍 🏻』となったらいいですね」 💬 「親に甘えたい盛りに、ひとりぼっちはつらいだろうけれど、強く、たくましく、やさしいクマに育ってください 🙏 」など、多くのコメントが寄せられています 。

キパクくんが保護された経緯とは? 団体の活動内容なども含めて、BuzzFeed編集部は、BSBCC Japanに詳しいお話を伺いました!

キパクくんが現在暮らしている場所は、ボルネオ島マレーシア・サバ州に位置する世界最大のマレーグマの保護施設「ボルネオマレーグマ保護センター(Bornean Sun Bear Conservation Centre , BSBCC)」です。行き先を失ったマレーグマを保護し、リハビリ後、野生復帰させることを目的とした施設で、2008年に設立されました。これまでに70頭のマレーグマを保護しており、現在は44頭がセンターで暮らしているのだとか。キパクくんは2020年生まれのオスのクマで、同年の7月18日、推定生後4カ月の頃にセンターに保護されました。ボルネオ島サバ州の「キパク村」で保護されたことから「キパク」と名付けられたのだそうです。――キパクくんは幼くして母グマを亡くしたとのこと … … 大変胸が痛みます。保護するに至った経緯はどのようなものだったのでしょう?「山火事の後、地元の方がキパクがひとりで歩いているところを発見し、村人の家でペットとして飼育されていました」「火災で母グマとはぐれた、あるいはコロナ禍で雇用に困った人々によって母グマが密猟の被害にあった可能性も考えられています。村人はお米や粉ミルクを与えながら約3カ月間飼育した後、サバ州生物局にキパクを引き渡しました」――おしゃぶりをする姿は、はたから見れば、なでたり抱きしめたくなるような、なんとも愛らしい光景です。この行動が出た際に現場のスタッフは、どう対応するのでしょうか?「そうですね、一見可愛らしい行動ですが、キパクにとっては『注目してほしい』『寂しい』『自分を落ち着かせたい』という気持ちの表れと考えられています」「自然界では子グマが母グマに甘える際の行動ですが、キパクは人に懐いてしまったため、スタッフの存在に反応しておしゃぶりを始めます」「通常は3〜4歳で見られなくなる行動ですが、キパクは特に甘えん坊なため、マレーグマでは大人になる5歳になった現在も続いています。自立を促すため、この行動が見られた場合にはスタッフは距離をとるようにしています」――キパクくんのチャームポイント、今後の成長への願いなどがございましたら、お聞かせいただけますか?「キパクのチャームポイントは、まん丸な目とピンク色のお鼻です」「また、とても食いしん坊な性格で、同世代のメスより体格が大きく、時には食べ物を奪ってしまうこともあります」「今後はおしゃぶりを卒業し、大きく優しいオスに成長してほしいと願っています」――最後に「BSBCC Japan」の活動について教えてください。「BSBCC Japan(正式名称:一般社団法人ボルネオマレーグマ保護センタージャパン)は、2020年に任意団体として活動を開始し、2024年に法人化しました。世界で最も小さなクマであり、生態系にとって重要な存在ながら絶滅の危機に瀕しているマレーグマの存在を、私たちは日本国内でより広く知っていただきたいと願っています 」

「 ボルネオ島の熱帯雨林減少の主な原因のひとつは、パーム油生産に伴う森林伐採であり、日本に住む私たちの日常生活とも無関係ではありません。また、野生動物や自然環境の問題に興味を持っている方であっても、言語の壁や日本語での情報不足により、具体的な支援方法がわからないと感じている方が多い現状もあります」「そこで私たちは、日本とボルネオをつなぐ架け橋となり『日本からもマレーグマの保護活動に参加する』ことを目指して、SNSを通じた情報発信、講演やイベントでの登壇、グッズ販売、会員制度などに取り組んでいます。これらを通じて、啓発活動や寄付活動を行っています」・・・・・・ちなみに、5月16日はBSBCCが初めてマレーグマを野生復帰させたことを記念して制定された『世界マレーグマの日』だそうです。公式Xでは、2024年2月に協定を結んだ「高知県立のいち動物公園」とのコラボイベントを開催すると告知していました。BSBCC Japanに詳しい内容を聞いてみたところ、今回のイベントでは『ボルネオで暮らすマレーグマたちに想いを届ける』ことをテーマにお絵描きコンテストを実施、描いてもらった作品を実際にボルネオ島のBSBCCに展示するとのことです。さらに詳細について、「イベントは5月18日にのいち動物公園で開催され、センターと中継を結び、リアルタイムでマレーグマの様子をご覧いただく予定です。また、日本のマレーグマファン代表・本田園長によるトークや、お絵描きコンテストの表彰も予定されています」とコメントしており、当日の様子はYouTubeでも生配信される予定とのことでした。BSBCC Japanの公式Instagram、X、YouTubeでは、キパクくんをはじめ、センターで保護飼育されている、個性豊かなマレーグマたちの日常を紹介しています。18日のイベントとあわせて、ぜひチェックしてみてくださいね …… !

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bsbcc japanの公式Instagramより

bsbcc japanの公式Instagramより

ボルネオ・サバ州の熱帯雨林のイメージ写真(Peter Adams / Getty Images)

サイゼリヤの看板(時事通信)

普段のこもちゃんの姿/ちぼさんのXアカウント(@KomoChibo)より

晩餐会で演説するフランシスコ教皇(2025年2月撮影) Photo by Stefano

人々がうどんを注文している丸亀製麺の店頭。スタッフが調理中。

晩餐会で演説するフランシスコ教皇(2025年2月撮影)